高尾登山さる園

高尾山のさる園は、高尾山口駅から山頂に登る途中にある施設です。

動物園のガイドブックにも載っていない施設だし、たいしたことないだろう、と思ったのですが、
「こちら高尾山のさる園です。
 返事するサルと遊んで大爆笑 
 人間社会と良く似たさる山へどうぞ!」
と書かれているのが気になりました。

「返事するサル」って何だ?
係の人の解説もあるらしいし、こりゃ、見なくちゃ、
ということで入園しました。

開園と同時に入ると、注意書きを手渡されました。
なになに・・・
サルと目を合わせるな、とか、サルに触るなとか、この注意書きをしまっておはいり下さい、とか・・・
あ、ここ、
サルは放し飼いなんだ〜。
うれしくなって、中に入ると、解説係のおじさんが待ちかまえていました。
当然、ほとんど
マンツーマンの質問責めとなりました。
なんでも、飼育係の人たちは、
ここのサル80匹、すべて人相(猿相?)で判別しているらしいです。
おじさんが「タイチ!」「ベタア!」等、サルの名前を呼ぶと、サルが「グッ!」とか、「キィ!」と返事をします。
ちなみに、エサを持っていない私が呼んでも無視・・・。

サルのエサは、係の人がひまわりの種をやっていました。
ちなみに、朝は芋、昼は大豆と小麦、夕方はペレットを定時に与えているらしいです。
肉はやりません。魚の刺身は食べ物だと認識しませんが、昆虫は好きだとか。

以下、ここできいた話です。
サルの交尾期は、冬の間だけ。他の時期は絶対にやらない。
特に、10〜11月が多い。
発情しているサルは尻がますます赤くなるからわかる。

●サルの出産時期は4〜7月。妊娠期間は170日。
 子供は300gくらいで、人間と比べてお産は軽い。
 お母さんは自分でへその緒を噛みきり、胎盤を食べてしまう。
 たいてい、夜のうちに出産するが、一匹だけ昼間産んだやつがいる。
 人間と同じく、子供は頭から出てきたらしい。
 「胎盤を食べる」等のお産のやり方は、他のサルを見て、学ぶらしい。

●以前は、客にもエサを与えさせていたらしいが、
 サルが慣れすぎてずうずうしくなって困るので、
 1970年11月に全てのサルを入れ替えした。
 島根の山で捕獲された20匹のサルを導入。
 それからどんどん増えて、今、雄35匹、雌45匹の計80匹。

 入れ替えたサルは、富士スバルランドに移動したが、こちらの子孫は、2000年に行った時、まだ、健在だった。ただし、スバルランドのサル山に人間は入れない。

●サルの寿命は雄25歳、雌35歳。
 それが、人口比となって現れている。

●サルは、雌は4歳くらい、雄は5〜6歳で生殖可能になる。
 そして、雌は死ぬまで出産可能。人間と違い、閉経はない。

●子育ては雌のみがやる。サルの社会は乱交状態。
 ちなみに、
父親は誰だかわからないことが多い

●産児制限として、冬の間、雌のサルを10匹ほど捕まえて、
 檻に入れて隔離して飼っている。

サルのボスは喧嘩の強いサルがなるのではない。
 喧嘩ばかりしているやつは単なる問題児(檻で隔離されるらしい)。
 気配りができて、他のサルのためによく世話をやく、人望の強い個体がボスになる。

 ボスになってからも、よそもののサルが入ってこないかどうか見張ったり、
 他のサルで秩序を乱すようなサルを叱ったり、
 することが多く、
ボスは多忙
 これができなくなると、ボスは失脚する。

●乳離れしたばかりの子をうっかり人間が蹴飛ばしたりすると、
 その子の母親、ボスザル、その他たくさんのサルが人間を囲んで威嚇大合唱になる。
 飼育係の人が逃げ出すほどの恐さらしい。

●ちなみに、歴代ボスは、
 1代目 ハンゾウ 昭和45年〜50年
 2代目 ベン   昭和50年〜平成7年
 3代目 ベタア  平成7年〜9年
 4代目 カク   平成9年〜

●先代ボスのベタアはまだ存命。
 ボスの座を退いた後も人望厚く、他のサルに一目おかれている。

サルの順位が一番よくわかるのは、エサの食べ方。
 
「自分より目上のサルの近くでエサを食べてはいけない」という鉄則がある。
 うっかりこれをやぶると、目上のサルに怒られる。
 今日も、私の見ている前で、ボスの彼女ザルがボスの前でずうずうしくエサを食べ始め、ボスにどつかれていた(写真の直後。ボスは左側)。
 また、母猿は、乳離れするとすぐに、自分の前では子供がエサを取るのを許さないらしい。これも大事な教育方針で、こうやって、サルの子は序列を守ることを覚えていく。
 
自分の子を叱れない駄目な母親の子は、群のルールを守れない駄目な子に育つ。

●サルの順位は、まず、家系で決まる。
 それから、長子より末子の方が順位は上。これは、後に生まれた子を親が余計にかわいがるせい。

●サルの体重は12〜20キロくらいで、出産時の赤ちゃんの重さ300gは人間に比べると相当軽い。だからお産も軽い。
 ところが、順位が上のサルは、運動不足で栄養も良いため、胎児が育ちすぎて、お産が重くなり、結果、死産や流産が増えるらしい。

飼育係に手もみしてエサをねだるアケビという雌ザルがいた。
よく「動物奇想天外」等で取材される、人間にとっての人気者らしいが、こいつは他のサルに気配りできず、順位が低く、「お友達がいない」状態。
人間にもいる、「おべっか使い」はサルの世界では評価されない。
数年前、麻布で捕獲されたはぐれザルは、都内の他の施設でひきとりを断られた挙げ句、この施設で引き取ることになった。
 最初はさる山に入れたのだが、仲間外れにされていじめられて可哀想なので、
今では隔離されて飼われている。
 こいつは、多分、ペットとして飼われていたものを飼い主が捨てたものだと思われる。
 
サルを個人で飼うのは、寿命が長いうえに、シモのしつけが絶対にできないので、檻飼いでもしないかぎり、困難でしょう、とのこと。
 (それで、サル芸に使うサルはよく、オムツをしている。東筑波ユートピアで、オムツをしていないサルが自分の粗相を雑巾でふく芸を披露していた・・・)
多摩動物園等で見られた毛引き癖(自分で毛をむしる悪癖)、ここではほとんど見られない。これは、観光客の目に触れない隠れスペースがあるので、サルにとってストレスが少ないからではないか?とのこと。

飼育係の解説は30分ごとの交替なのですが、結局飼育係3人=合計1時間半、この施設に入り浸ってしまいました。

やっぱり、解説コーナーのあるところはいい!

壁に貼った新聞を見ていたら、ここのサル社会について解説された本「高尾山「さるの国」見聞録」(のんぶる舎、1992年、1500円)があることがわかり、買って帰りました。

●高尾登山さる園
 0426-61-2381、10〜16時半、500円