地附山公園と地すべり観測センター(2)

さて、駐車場脇まで戻ってきたら、地すべり観測センター前に「地すべり資料展示中」という看板が出ていた。これは見ていかないと。
館内に入ると、パネルや、模型、地すべり測定器具などが並べられていた。

係の方(NPO長野県地すべり防止工事協会さんという方)に奥の部屋に案内され、「地附山災害 復興の記録」(約10分)というビデオ映像の鑑賞。地附山地すべりに関する映像で、当時の惨状と、その後の防災工事についてのものだった。災害の映像は、「ザ・地すべり」ほどの迫力あるものではなかったが、この災害について、初めての人でもよくわかる内容になっていた。

映像の後は、地すべりについての解説

長野は新潟と並んで地すべりの多い県だそうだ。その理由は三つある。
○中央構造線・糸魚川静岡構造線の二つが通っていること。例えば、後者は国道での観測で、年5〜7ミリの隆起があり、地盤の不安定化、地すべりの原因になっている。
○第三紀層というもろい地層があること。
○雨が少ない(日本平均1850ミリ、長野950ミリ/年)こと。少々の雨でも地盤が滑りやすい。

詳しいな?と思ったら、N氏は現役の研究者だそうだ。

バードラインに取り残された人が、地すべり中のバードラインで撮影したすごい写真(画像)などが展示されていた。この写真を撮った方は「自分が死んでも、カメラが回収されれば映像は残る」という思いながらシャッターを切ったそうだ。この方は、6mの段差があったためにその場から動けなかったのが、地面が滑って段差が解消したため、自力で下まで降りてくることができたそうだ。
この災害ではマスコミが少し離れた場所にカメラを構えて集結したため、大量の画像、映像が残されているそうだ。立ち入り禁止区域に入り込み、救出されたマスコミ関係者(ラジオだったか?)もいるそうだ。

どうしてN氏はこんなに知っているのか?地元で災害に巻き込まれたのか?と思ったら、当時、彼は仙台に住んでおり、地附山で地すべりが起きそうだと聞いて、長野に来て、現場に張り付いて調査していたのだという。その後、転勤で本当に長野に定住することになったそうだ。

展示されていた新聞記事を見たら、地附山地すべりの引き金になったのは、バードラインの造成と、新興住宅地の開発が原因ではないか?と書かれていた。山の木を切り倒したために保水力がなくなり、この年の梅雨(例年より多かった)のせいで、地面が滑った人災というわけだ。

興味深かったのが、地附山防災工事の立体模型。地上部分は普通だが、

地下の部分もちゃんと作り込んであり、地面に打ち込まれた大量の杭、排水用の管、集水井、排水トンネルなどが色つきの管で再現してあった。

展示されていた地すべり対策の機材。

左から排水用パイプ、アンカー、杭打工の鋼管。

深基工の鉄筋、パイプ歪み計。

N氏に「最近、地すべり災害、当時に比べると減ってますよね。このような防災工事で、災害が防止できるようになったせいでしょうか?」と質問したら、たまたまニュースになるような地すべりが最近起きていないだけで、地すべり自体は減っていないそうだ。地すべりが起きている場所、あるいは起きる可能性のある橋をはたくさんある(滑っていても、速度が遅ければ、災害にならないだけ)ので、全てに工事するわけにはいかない。また、災害になるほどの速さで滑り始めたら、工事なんかしてられない。いつまたこのような災害が起きてもおかしくないそうだ。現在、長野県内で、目には見えないが、研究者の間で話題になる程度の速度で地すべりの起きている地域があり、最悪、川が閉塞されて大変なことになるかも、と騒がれているそうだ。

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